開業届は開業日から1カ月以内に提出することが望ましいです。目安としてはグラフィックボード(GPU)16枚以上で運用するつもりなら出した方が良いです。
サラリーマンの方は会社の就業規則などに抵触する可能性もありますが、仮想通貨のマイニングで本業に支障はないと説明すれば咎められる可能性は低いでしょう。公務員の方は分かりません。。
目次
個人事業主とは?
仮想通貨のマイニングで年間20万円以上の利益が出た場合、避けて通れないのが確定申告です。加えて、仮想通貨による利益は「雑所得」扱いになるので、その半分近くが税金になることもあります。
マイニングを数年継続する場合やマイニング利益が年間290万円未満である場合、「個人事業主」になることをおすすめします。
もちろん届け出る必要があり、本業のある人にとっては面倒に感じると思いますが節税のメリットが大きいので、まずはどのように税金が節約できるのか法人との違いを説明します。
個人事業主としてマイニングをする3つのメリット
周知のとおり改正資金法が施行されて、マイニングで得た仮想通貨にも税金がかかるようになりました。開業届を出す場合・出さない場合で決定的に違うのは、「事業所得として税申告できるかどうか」です。この1点で、税額が全く違ってきます。
最大65万円の控除を受けられる
個人事業主になることの最大のメリットです。開業届を出さない場合の基礎控除額は38万円なので、税金のかからない部分が27万円増えることになります。(給与所得者の場合)。
経費に計上できるものの種類が増える
開業届を出さない場合、経費として認められるのは「電気代だけ」と言っても過言ではありません。ところが事業者になると、計上できるものの種類が一気に増えます。
- 信費 例:自宅のネット料金・携帯電話料金
- 勉強代 例:仮想通貨に関するセミナーへの参加費・PCパーツ知識を学ぶために購入した書籍代
- 減価償却費 例:ASICやグラフィックボードの購入代金
- 消耗品費 例:引越し代金・マイニング機材で家の床を傷つけてしまったときの修復費
- 水道光熱費 自宅の一室にマイニング機器を置いている場合、その部屋を「事業で使用している部屋」としてみなすことができます。自宅面積に占める部屋の大きさの割合を計算し、水道光熱費のうち部屋面積の分を経費計上できます。
- これらも経費計上できます。結婚している場合・家族と同居している人なら、他にも経費計上できる可能性があります。
- 専従者給与 生計をともにしている家族がマイニング機材の組み立て・管理を手伝ってくれているなら、従業員とみなして給与を支払うことが出来ます。この給与分を、人件費として計上します。
マイニングによる赤字を繰り越せる
マイニング初心者だと、1年目は通算で赤字になる可能性が高くなります。それでなくても、せっかく入手した仮想通貨が突然暴落・赤字転落へ…といった羽目になれば、目も当てられません。
事業者という立場を手に入れておけば、ここで出た赤字を3年に渡って「前年度の純損失」として引き継ぐことが出来ます。控除や経費を考慮せずに例を挙げると、以下のようになります。
1年目:50万円の赤字
2年目:100万円の黒字
…2年目の分の税金計算は、利益50万円に対して行われる
(2年目の利益-1年目の赤字=50万円)
この例で、2年目の利益が少なく・3年間マイニングを続けたとします。
- 1年目:50万円の赤字
- 2年目:40万円の黒字
- 3年目:20万円の黒字
…3年目の分の税金計算は、利益30万円に対して行われる
(1年目の赤字が10万円残っているので、3年目に引き継ぎ)
事業届を出さないと、前年以前の赤字は無視されます。マイニングを事業収入として申告する場合にしか得られない、特徴的なメリットです。
個人事業主と法人の3つの違い
「マイニング事業者」という法人格をもつ企業もありますが、個人とどう違うのでしょうか。費用・税金の面で比較します。
開業手続きにかかる費用
個人事業主の場合、開業するときは一切お金がかかりません。後述する持ち物を揃えるだけで十分です。
ところが法人の場合、登記・定款の認証・収入印紙代など諸々の手続きも合わせて行わなければなりません。それぞれ手数料がかかるので、最低でも以下の金額がかかります。
- 株式会社:242.000円
- 合同会社:102.000円
法人のデメリットはもう一つあります。
支払うべき税金の種類
個人事業主としてマイニングを行う場合、支払うのは所得税・住民税のたった2種類です。これが法人になると、一気に種類が増えます。
- 法人税(所得税にあたるもの)
- 法人住民税
- 固定資産税
- 法人事業税(都道府県に支払う)
- 地方法人特別税(国に支払う)
このように、個人事業主のほうがシンプルに納税できます。税計算にかかる負担もはるかに少ないと言えます。
ただし、個人事業主でも利益が290万円を超えると「個人事業税」が付加されます。この場合、法人成りしたほうがお得なケースがあります。
税額
所得税・法人税を比較すると、法人のほうが安く済みます。たとえば個人事業主が所得税を支払う場合、最大45%・実に半分近くが税金に消えます。ところが法人税の場合は、どんなに収入が多くても23.9%までです。
ただしこれまでに挙げてきたように
- 個人事業主には控除額の優遇がある
- 法人が支払う税金の種類数
さらに地方法人特別税が自治体ごとに変動することも考慮すると、結果的に個人事業主のほうが安く済むことが大半です。
まとめ
マイニングを事業収入として申告するだけで、控除額拡大・赤字引継ぎというメリットを享受できます。また、法人設立と異なり一切お金がかかりません。「個人事業主」という格であれば、煩雑な手続きや税金の種類に悩まされることもありません。意外と敷居が低いのもポイントです。
次に、開業する方法を解説します。
開業届の書き方
開業時に提出する書類のフォーマットは、国税庁HPにPDFファイルがあります。
個人事業の開業・廃業等届出書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf
所得税の青色申告承認申請書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/10.pdf
これをプリントアウトし、手書きで記入しましょう。近くに税務署があれば、そこで用紙をもらうこともできます。忘れてはならないのが「所得税の青色申告承認申請書」です。これには、下記のような提出期限があります。
開業日が1/1~1/15のとき:同年の3/15まで
開業日が1/16以降のとき:開業日から2カ月以内
2つの書類を同時に提出するのがベストですが、うっかり「所得税の青色申告承認申請書」の提出を忘れてしまった場合、提出期限に注意しましょう。
糞めんどくせぇ・・・と思ったそこの貴方
モグラも糞めんどくせぇと思いました。モグラの場合はfreeeを使って開業届から確定申告まで全て行っています。
freeeであれば楽天銀行などのネット口座を登録しておけば入力作業などがかなり省けて便利です。
開業freeeでは、「開業届」を含め、以下の5つの書類を無料で作成することができます。
・開業・廃業等届出書(開業届)
・青色申告承認申請書(青色申告を行う場合)
・青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を支払うか、家族への給与を経費にする場合)
・給与支払事務所等の開設届出(給与を支払う場合)
・源泉所得税に納期の特例の承認に関する申請書(給与を支払う場合)
初めて開業して右も左もわからない状態では、何の届出が必要で、何が必要ではないかを判断することが難しいのではないでしょうか。
開業時には本来提出が必須ではない書類もあり、届け出についての調査に時間を割いている方も少なくありません。
開業freeeは、開業時に必要な書類を網羅しているので、最速で届けを提出し本業に専念することが可能です。
白色申告と青色申告の違い
青色申告承認申請書を提出する理由は、青色申告による優遇を受けるためです。
確定申告初心者なら、白色・青色の違いに困惑することでしょう。それぞれの特徴を紹介します。
白色申告の特徴
特別な手続きや知識を必要としない、簡単な申告方法です。開業しない場合・開業済みでも時間等が理由で青色申告しない場合は、この方法で確定申告することになります。
収入・支出の2項目を使って、日付順に並べて収支を記録する「単式簿記」で記帳し、確定申告書とともに提出します。単式簿記を平たく表現すると、一般的な家計簿と同じ様式です。
ただし、この方法では「最大65万円の控除」や「専従者控除(同居家族への給与分控除)」は受けられません。事業によるお金の動き方は複雑なので、詳細な収支情報が必要・したがってもっと高度な方法で記帳すべきというのが理由です。
青色申告の特徴
手続きの大枠は白色申告と同じですが、記帳方法が異なります。ここで使う記帳方法とは、「複式簿記」です。収支の記録を帳簿を左右に分けて借方・貸方と呼び、勘定項目という定められた方法で記入していきます。
日商簿記3級程度の知識があればスムーズに理解することも可能ですが、経理関係の業務に携わったことのない人とっては敷居の高いものです。とはいえ、近年は多数の青色申告専用ソフトが発売されています。あまりしっかり勉強しなくても数字を入力するだけで帳簿が出来上がるので、これを活用している個人事業主が増加の傾向にあります。
いずれにしても、事業者としてすべての税優遇を受けるには、青色申告で詳細にお金の動きを報告する必要があります。つまり、個人事業主のメリットを享受するなら、開業届の提出・青色申告の2つをクリアしなければいけません。
開業届の書き方
重要かつ悩みがちな記入項目について解説します。
開業日
「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限にかかわる項目です。基本的には、提出する日を書きましょう。
開業届は1カ月以内に提出するよう義務付けられているので、過去の日付を書く場合は留意する必要があります。
職業
会社員や学生など、いわゆる「本職」を書きます。マイニング収入だけで生計を立てている場合は、「フリーランス」と書きましょう。
事業の概要
ここには「仮想通貨のマイニング等」という記入で十分です。
屋号
銀行で当座預金口座を開設するときに使える名前です。屋号をつける場合、後述しますが事業用印鑑が必要です。特にこだわりがなければ、個人名を記入しましょう。
必要書類と持ち物
ここで一度、開業届を提出するにあたって必要なものをまとめます。
- 「個人事業の開業・廃業等届出書」
- 「所得税の青色申告承認申請書」
- マイナンバーの記載された公的書類
- 印鑑(屋号をつける場合は注意)
マイナンバー記載書類として通知カード・マイナンバーカードが用意できない場合、住民票を取得しましょう。この場合は「マイナンバーを記載してほしい」と伝える必要があります。
印鑑は認印でも手続きできますが、屋号をつける場合は下記の二点を事前に済ませておく必要があります。
- 屋号+代表者名」の印鑑の作成
- 印鑑登録
開業届の提出先
開業届は、住民票所在地を管轄している税務署に提出します。同じ市区町村内でも管轄が分かれる場合があるので、国税庁HPで検索してください。
「税務署の所在地などを知りたい方」
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
年初~3月15日は混雑するので、時間に余裕をもって向かいましょう。休日開庁は原則行っておらず、例外的に日曜開庁を行う確定申告期間中(2/16~3/15)でも、開業に関する窓口は開いていないことが大半です。
マイニングで個人事業主になるメリットのまとめ
個人事業主になることのメリットは、次の4点です。
- 青色申告により控除額が大きくなる
- 経費計上できるものが増える
- 手続きが簡単
- 開業届提出時の手数料は無料
個人事業主として登録したら必ず個人の口座と事業用の口座を別に分けましょう。同じ口座でやるととんでもなく面倒なことになります。
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